はじめに
「ホームページを作りたいが、どの制作会社に依頼すればよいか分からない」
「複数社から見積もりを取ったものの、金額以外の違いを判断できない」
このような悩みを抱えている中小企業・小規模事業者の方は少なくありません。ホームページ制作会社は、それぞれ得意分野や料金体系、公開後の支援内容が異なります。
そのため、有名な会社や価格の安い会社を選べば、必ず成果が出るとは限りません。
大切なのは、ホームページを作る目的から逆算し、自社に必要な支援を提供できる会社を選ぶことです。特に、専任のWeb担当者がいない中小企業では、制作技術だけでなく、事業内容や顧客、公開後の運用まで理解してくれる相手が適しています。
この記事では、中小企業診断士・現役システムエンジニアとしての視点と、自身の事業用ホームページをWordPressのオリジナルテーマで制作・運営してきた経験をもとに、ホームページ制作会社の選び方を解説します。
相見積もりの比較項目や契約前の質問も紹介しますので、発注先を検討する際にご活用ください。
制作会社は価格だけで決めず、提案内容や支援範囲まで比較することが大切です。

ホームページ制作会社選びで失敗が起こる理由
ホームページ制作では、数十万円から数百万円の費用がかかることもあります。
それにもかかわらず、「きれいなサイトになったが問い合わせが増えない」「公開後に更新できない」といった失敗が起こるのは、制作そのものが目的になってしまうためです。
価格やデザインだけで決めてしまう
制作費は分かりやすい比較材料ですが、安さだけで選ぶと、必要なページや機能が別料金になったり、公開後のサポートを受けられなかったりする場合があります。
一方で、制作費が高ければ成果が出るとも限りません。重要なのは、金額の高低ではなく、その費用に何が含まれ、自社の目的達成に必要な提案になっているかです。
デザインも同様です。見た目の良さは大切ですが、顧客が知りたい情報にたどり着けなければ、問い合わせや応募にはつながりません。デザインは目的ではなく、自社の魅力を分かりやすく伝える手段として考える必要があります。
ホームページを作る目的が曖昧になっている
「競合他社が持っているから」「今のサイトが古いから」という理由だけで制作を始めると、掲載すべき情報や優先する機能を決められません。
問い合わせを増やしたいのか、採用を強化したいのか、営業時の信用力を高めたいのかによって、必要なページや導線は変わります。
制作会社を探す前に、ホームページで解決したい経営課題を整理しておくことが重要です。
制作範囲と公開後の役割分担を確認していない
ホームページ制作には、構成設計、デザイン、コーディングだけでなく、文章作成、写真撮影、サーバー設定、公開後の更新など、さまざまな作業があります。
「当然、制作会社が対応してくれると思っていた」という認識のずれは、追加費用や公開の遅れにつながります。
どこまで制作会社が担当し、何を自社で準備するのかを契約前に明確にしておきましょう。
制作会社を探す前に整理しておきたい5つの項目
制作会社から適切な提案を受けるためには、発注側の準備も必要です。
ただし、最初から詳細な仕様書を作る必要はありません。まずは次の5項目を整理できれば十分です。
1.ホームページを制作する目的
「問い合わせを増やす」「採用応募を増やす」「サービス内容を分かりやすく伝える」など、最も重視する目的を決めます。
可能であれば、「月3件の問い合わせを獲得する」のように目標を数値化すると、公開後の評価もしやすくなります。
2.想定する顧客と伝えたい自社の強み
誰に見てほしいホームページなのかを整理します。同じサービスでも、対象が地域の個人客なのか、全国の法人なのかによって、伝える内容やデザインは変わります。
あわせて、価格、技術力、対応速度、実績など、競合と比べた自社の強みも考えておきましょう。うまく言語化できない場合は、強みの整理から支援できる制作会社を選ぶ方法もあります。
3.必要なページと機能
会社概要、サービス紹介、実績、お知らせ、お問い合わせなど、必要と思われるページを書き出します。
予約機能、採用フォーム、ブログ更新機能などが必要な場合も、この段階で伝えます。
4.予算と希望する公開時期
予算は、無理に一点で決めず「50万~80万円」のように幅を持たせても構いません。予算の上限を伝えることで、その範囲内で優先順位を付けた提案を受けやすくなります。
公開希望日がある場合は、その理由も伝えましょう。キャンペーンや採用開始日に合わせる場合、原稿や写真を準備する期間も含めて進行計画を立てる必要があります。
5.公開後の更新・運用体制
誰が、どの程度の頻度で更新するかを考えます。自社で更新したい場合は、WordPressなどの更新機能や操作方法の説明が必要です。
社内に担当者がいない場合は、保守や更新代行を依頼する前提で検討した方がよいでしょう。

失敗しないホームページ制作会社の選び方10選
ここからは、ホームページ制作会社を比較する際に確認したい10のポイントを順番に解説します。
1.自社の目的や経営課題を理解してくれるか
最も重要なのは、依頼されたサイトを作るだけでなく、「なぜホームページが必要なのか」を確認してくれることです。
たとえば、問い合わせが少ないという課題に対しても、認知不足、情報不足、導線の分かりにくさなど、原因によって対策は異なります。
事業内容、顧客、競合、営業方法まで質問したうえで提案してくれる会社であれば、目的に合ったサイトを制作しやすくなります。
2.得意分野が自社の目的と合っているか
制作会社には、デザイン、SEO、採用、ECサイト、システム開発など、それぞれ得意分野があります。
問い合わせ獲得が目的であれば、見た目だけでなく、SEOや導線設計、アクセス解析まで対応できるかを確認します。採用が目的なら、求職者向けの情報設計や写真撮影、採用コンテンツの制作経験も判断材料になります。
「何でもできます」という説明だけで判断せず、自社の目的に近い領域で、どのような支援ができるのかを具体的に聞いてみましょう。
3.制作実績を見た目だけで判断しない
制作実績を見るときは、好みのデザインかどうかだけでなく、次の点を確認します。
- どのような課題を解決するために制作したのか
- 誰を対象に、どのような導線を設計したのか
- スマートフォンでも見やすく、操作しやすいか
- 公開後にどのような成果や改善があったのか
- 自社と近い業種・規模・目的の実績があるか
同業種の実績があれば安心材料になりますが、必須ではありません。重要なのは、他社の事例をそのまま当てはめるのではなく、自社の状況に合わせて考えられるかです。
4.ヒアリングと提案に根拠があるか
良い制作会社は、要望をそのまま形にするだけではなく、必要に応じて別の案を提示します。
たとえば、「トップページに情報をすべて載せたい」という要望に対し、閲覧者の分かりやすさを考えてページを分ける提案をする場合があります。
その際に、「なぜこの構成なのか」「どの顧客行動を想定しているのか」まで説明できる会社は信頼しやすいでしょう。
提案内容の豪華さよりも、自社の課題と提案がどのようにつながっているかを確認してください。
5.制作範囲と役割分担が明確か
同じ「ホームページ制作」でも、会社によって含まれる作業は異なります。特に確認したいのは、次の項目です。
- サイト構成や文章の作成
- 写真・動画の撮影
- ロゴや図解の制作
- スマートフォン対応
- お問い合わせフォームの設定
- SEOの内部対策
- サーバー・ドメインの設定
- 公開後の操作説明
自社で用意するものと制作会社が担当するものを分け、完成までのスケジュールも共有してもらいましょう。
6.見積書の内訳と追加費用が明確か
見積書が「ホームページ制作一式」とだけ記載されている場合は、内訳を確認した方がよいでしょう。
ページ数、デザイン、原稿作成、フォーム、WordPress構築などが分かれていれば、他社とも比較しやすくなります。
また、次のような追加費用が発生する条件も確認します。
- ページや機能を追加する場合
- 修正回数の上限を超える場合
- 写真や文章の準備を依頼する場合
- 公開日が延期になった場合
- サーバーや有料ツールを利用する場合
初期費用だけでなく、保守費用、サーバー代、更新費用などを含めた年間の総額で比較することが大切です。
7.担当者の説明が分かりやすく、連絡しやすいか
ホームページ制作では、数か月にわたって打ち合わせや確認を重ねます。担当者との相性や連絡の取りやすさは、想像以上に重要です。
専門用語をそのまま使わず、発注者が判断できるように説明してくれるか、質問への回答が具体的かを確認しましょう。返信の速さだけでなく、連絡手段、定例会の有無、緊急時の窓口なども聞いておくと安心です。
8.自社で更新しやすい仕組みになっているか
公開後に、お知らせや実績を更新するたびに費用がかかると、情報発信が止まりやすくなります。自社で更新したい内容を伝え、専門知識がなくても操作できる仕組みを提案してもらいましょう。
WordPressを導入する場合も、すべての箇所を自由に変更できるとは限りません。
どのページを自社で更新できるのか、操作マニュアルや説明の機会があるかを確認する必要があります。
9.公開後の保守・集客・改善まで相談できるか
ホームページは、公開して終わりではありません。問い合わせや採用につなげるには、アクセス状況を確認し、文章や導線を改善する必要があります。
保守契約については、「何かあれば対応します」という説明だけでなく、具体的な作業範囲を確認してください。
バックアップ、セキュリティ更新、不具合対応、アクセス解析、記事更新などは、それぞれ別の業務です。
自社に運用の知識や人員が不足している場合は、制作後の改善まで伴走できる会社を選ぶと活用しやすくなります。
10.ドメインやサイトデータを自社で管理できるか
見落とされやすいのが、ドメインやサーバー、サイトデータの管理権限です。制作会社名義で契約されていると、契約終了後にホームページを移管できない場合があります。
少なくとも、次の項目は契約前に確認しておきましょう。
- ドメインの契約名義は誰になるか
- サーバーの管理情報を共有してもらえるか
- WordPressの管理者権限を受け取れるか
- 文章、写真、デザインの権利はどうなるか
- 解約時にサイトやバックアップのデータを受け取れるか
- 他の制作会社へ移管できるか
現役SEとしてシステムの運用に携わる中でも、権限やデータの所在、障害時の対応範囲を明確にすることは基本です。ホームページも会社の情報資産であるため、「誰が管理し、契約終了時にどうなるか」まで確認することをおすすめします。

相見積もりで比較すべき項目
相見積もりは、3社程度を目安にすると比較しやすくなります。会社数を増やしすぎると、打ち合わせや提案確認の負担が大きくなり、かえって判断軸がぶれやすくなります。
比較するときは、各社へ伝える目的や要望をできるだけそろえましょう。そのうえで、金額だけでなく、含まれる作業と提案内容を一覧にします。
- 初期費用・月額費用
- ページ数・機能
- 原稿・写真の担当
- SEO内部対策
- スマートフォン対応
- 修正回数・追加料金
- 保守・バックアップ
- 公開後の改善支援
- 管理権限・データ移管
- 提案の根拠・担当者との相性
見積金額に差がある場合は、単に値下げを求めるのではなく、「どの作業や支援範囲の違いによって差が生まれているのか」を確認してください。
不要な機能を減らす、公開時に必要なページを優先するなど、予算に合わせて段階的に制作する方法もあります。
契約前に制作会社へ聞いておきたい質問リスト
提案を受けた後は、次の質問を使って不明点を整理しましょう。
すべてを形式的に聞くのではなく、自社にとって重要な項目を中心に確認します。
目的・提案に関する質問
- 当社の課題とホームページの役割をどのように捉えていますか
- このページ構成や機能を提案した理由は何ですか
- 公開後は、どの指標で成果を確認しますか
- 同じ目的のホームページを支援した事例はありますか
制作範囲・費用に関する質問
- 見積もりに含まれていない作業はありますか
- 原稿、写真、画像素材はどちらが用意しますか
- 修正できる回数と、追加料金が発生する条件を教えてください
- 制作中にページや機能を追加した場合、費用と納期はどう変わりますか
公開後の運用に関する質問
- 自社で更新できる範囲はどこですか
- 保守契約には、具体的にどの作業が含まれますか
- バックアップの頻度と、障害発生時の復旧方法を教えてください
- アクセス解析や公開後の改善も相談できますか
契約・管理権限に関する質問
- ドメインとサーバーは自社名義で契約できますか
- WordPressなどの管理者権限は共有されますか
- 契約終了後にサイトデータを受け取れますか
- 解約条件と、他社へ移管する場合の費用を教えてください
質問への回答内容だけでなく、デメリットや制約も含めて説明してくれるかを見ることも大切です。
注意したいホームページ制作会社の特徴
次の特徴に当てはまる場合は、契約前に説明を求めた方がよいでしょう。
- 目的や顧客を聞かず、すぐにデザインや機能の話を始める
- 見積書が「制作一式」のみで、作業範囲が分からない
- 「必ず検索順位が上がる」「必ず問い合わせが増える」と断言する
- ドメインやサーバー、管理者権限について説明がない
- 保守内容、追加費用、解約条件が曖昧である
- 専門用語が多く、質問しても分かりやすく説明してもらえない
ただし、一つ当てはまるだけで悪い会社と決めつける必要はありません。説明を求めたときに、根拠や条件を具体的に回答してもらえるかを確認しましょう。
制作会社とフリーランスはどちらを選ぶべきか
複数の専門スタッフによる対応や、大規模なサイト・システム開発を求める場合は、制作会社が向いています。担当者が不在の際も、組織として対応してもらいやすい点がメリットです。
一方、フリーランスや個人事業者は、打ち合わせから制作、公開後の支援まで同じ担当者が対応することが多く、柔軟に相談しやすい傾向があります。組織の間接費が少ない分、費用を抑えられる場合もあります。
ただし、会社か個人かだけで品質は判断できません。自社の目的、サイトの規模、必要な支援範囲、担当者との相性をもとに選ぶことが重要です。
※制作会社とフリーランスの違いは、別の記事で詳しく解説予定です。
中小企業は「作ってくれる会社」より「一緒に活用できる相手」を選ぶ
ホームページの公開はゴールではなく、運用のスタートです。実際の顧客の反応やアクセス状況を見なければ、どの情報が不足し、どこで離脱しているかは分かりません。
まずは、問い合わせ数、採用応募数、資料請求数など、自社が重視する成果指標を決めます。そのうえで、アクセス数、閲覧ページ、検索キーワードなどを確認し、必要な改善を続けていきます。
私自身、事業用ホームページを制作・運営する中で、公開後も表示速度、スマートフォンでの見え方、文章、導線などを継続的に見直してきました。
制作時点で完成形を目指すことも大切ですが、実際に運用しながら改善できる設計にしておくことが、長期的な成果につながります。
専任のWeb担当者がいない中小企業こそ、サイトを作る技術だけではなく、「誰に何を伝え、どのような行動につなげるのか」を一緒に考えられる相手を選ぶことをおすすめします。
ホームページ制作会社の選び方に関するよくある質問
制作会社は何社くらい比較すべきですか?
3社程度が目安です。比較先が1社だけでは費用や提案の妥当性を判断しにくく、増やしすぎると打ち合わせや確認の負担が大きくなります。
最初に実績や得意分野を確認して候補を絞り、同じ条件で提案を依頼しましょう。
地元の制作会社を選んだ方がよいですか?
対面での打ち合わせや地域性を重視する場合は、地元の会社が適しています。一方、オンラインで十分に意思疎通できる場合は、地域だけで限定する必要はありません。
距離よりも、目的への理解、支援範囲、連絡体制を優先して判断しましょう。
制作実績が少ない会社への依頼は避けるべきですか?
実績数だけで判断する必要はありません。少なくても、担当者の経験や提案内容、制作工程、公開後の支援を確認することで判断できます。
反対に、実績が多くても、自社の目的に合う提案がなければ適しているとは限りません。
一番安い制作会社を選ぶと失敗しますか?
安いこと自体が問題ではありません。テンプレートの活用や機能の絞り込みにより、適正に費用を抑えている場合もあります。
見積もりに含まれる作業、追加費用、保守内容を確認し、必要な品質と支援を受けられるかで判断してください。
Webの知識がなくても依頼できますか?
依頼できます。むしろ、専門用語を使わず、選択肢のメリット・デメリットを分かりやすく説明してくれるかが、制作会社を見極めるポイントになります。
目的や顧客、予算など、自社で分かる情報から伝えれば問題ありません。
まとめ|自社の目的と公開後の運用を基準に選ぼう
ホームページ制作会社は、価格やデザインだけでなく、次の点を総合的に比較して選びましょう。
- 自社の目的や経営課題を理解しているか
- 提案内容に根拠があるか
- 制作範囲と追加費用が明確か
- 自社で更新しやすいか
- 公開後の保守や改善まで相談できるか
- 管理権限やデータを自社で保有できるか
特に中小企業では、ホームページ単体ではなく、営業方法や人員体制も踏まえて考える必要があります。
発注先を決める前に、「ホームページで何を実現したいのか」を整理することから始めてください。
白岩中小企業診断士事務所では、中小企業診断士・現役システムエンジニアの視点から、経営課題とWeb活用の目的を整理し、WordPressによるホームページ制作から公開後の運用・改善まで支援しています。
「何を掲載すればよいか分からない」「取得した見積もりの内容を判断できない」といった制作前の段階でもご相談いただけます。
大阪・兵庫を中心に、オンラインでは全国対応が可能です。
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